PDFプリセットの「圧縮」が正しく働くのか? 実験してみて分かった事、分からなくなった事…
2016/07/11
200ppi以上の画像に対して200ppiになるように設定しているPDFプリセットが、どのような条件で働くのか? 働かないのか? 実験してみました。今回のエントリーは無駄に長いので、よっぽど興味のある方以外はスルーしてください。面白くもないし、大した結果も出ていないからです。
圧縮項目の設定について
MDクロスオーバーでは広告やフライヤーなどの元データの配置画像が、ほぼ原寸に対して350ppi前後で作られている前提として、200ppiより大きな画像はすべて200ppiになるような設定にしております。何故200ppiなのかと言うと、フォントやオブジェクトなどベクターオブジェクトが圧縮設定をしても劣化しないのに比べ、画像であるラスターオブジェクトは圧縮加減により劣化します。圧縮すればするだけPDFは軽くなってネット環境でもサクサク見ることができるのですが、そのぶん画像はどんどんぼやけてしまい、ベクターオブジェクトのシャープな輪郭との「差」が目立つようになってしまいます。そうなるとオリジナル印刷物の持つデザインの雰囲気との違いが目立つようになってしまいますので、そのバランスをとった解像度にしております。
最近は200ppiに迫る画面解像度を持ったデバイスが出ていますので、その意味でも200ppiは欲しいところでした。
プリンタでの出力では150ppiもあれば十分と思われますが、200ppiもあれば高精度プリンタでも解像度が足らないといった事は無いと思われます。
圧縮項目の設定が正しく動作するには
条件がイマイチわからないので、そのためにこのような実験をしました。まずはひとつのEPS画像を用意しました。

元になる画像の総ピクセル数を変更せずに、解像度(ppi)だけを変更します。と言う事は配置画像の大きさだけが変更されるわけです。5種類作ってみました。どれも画像の質は同じです。すべての画像は開いたときのファイルサイズは4.29MBです。ただしJPEGエンコードのせいか各ファイルのデータ容量は微妙に異なりました。

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Adobe Illustratorでそれぞれの画像を拡大率100%で配置して保存しました。「A」「B」はA4より大きいのでアートボードからはみ出します。「アートボードサイズ」は「A4」、「ドキュメントのラスタライズ効果設定…」は「高解像度(300ppi)」です。

▲保存はIllustrator(.ai)形式、オプションのPDF互換ファイルを作成をON、配置した画像を含むはOFF。この場合各Illustratorファイルはすべて4MBでした。
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今度はこれらのIllustratorファイルをMDクロスオーバーのプリセットを使ったPDF形式で保存してみます。

▲PDFプリセットの「圧縮」が働いたていないと思われるのは「ア」「イ」の200ppi以下という結果が出ました。「ア」と「イ」はアートボードよりはみ出しているので、205KB以上にはならなかったのだと思われます。「ウ」は働いたのかも知れませんが200ppi→200ppiなので実質変化無しということだと思われます。が、何か納得できなかったので中間の解像度でも試したところ250ppi前後から205KBを切り始めました。ともあれ圧縮設定は働いているみたいです。
配置画像を拡大縮小すると「圧縮」はどうなるのか?
今度は配置画像を拡大縮小した場合にデータ容量はどうなるのかの実験です。上記PDFの「ア」と「オ」の配置画像はそれぞれ拡大率100%でした。(「ア」はアートボードよりはみ出してます)「ア」は圧縮がかからず205KB、それにに比べ「オ」は圧縮が働いて106KBでした。そこで「ア」の配置画像(1905mm × 1270mm)を「オ」と同じサイズ(42.33mm × 28.22mm)にIllustratorで縮小した場合「ア2」、逆に「オ」の配置画像(42.33mm × 28.22mm)を「ア」と同じサイズ(1905mm × 1270mm)にIllustratorで縮小した場合「オ2」、自分でも何書いてるのか訳がわからなくなっていますが、図にして以下の通り。

▲このような配置画像の極端な拡大・縮小はAdobeも勧めていませんので、誰もしないとは思います。
全ての配置画像は1500px × 1000pxなので「オ2」の結果は「圧縮」が働いた上で「オ」より容量が大きくなったのは少々理不尽ですが、「オ2」のPDFの見た目は「ア」と同じなので「ア」のデータ容量とさほど変わらないのは妥当かも知れません。
「ア2」の結果を見ると、たまに見かける72ppiだけど1メートル×2メートルの画像を50ミリくらいに縮小配置しているIllustratorファイルでも(何故か)それなりに容量ダウンしてしまう事になります。でも実験では配置画像は20ppiなので「圧縮」は働かない設定のハズなのですが……「ア2」のPDFの見た目は「オ」と同じなので「オ」のデータ容量とさほど変わらないのは、これまた妥当かも知れません。
じゃあ全ての「圧縮」プリセットは働いたのかそうでないのか? そう訊かれるとこれまでの実験ではよくわかりません。「ア」「イ」「ウ」のPDFは非圧縮だと考えざるを得ないので、205KBを切った結果のファイルは「圧縮」が働いたと考えるしかないというのが、正直なところです。
埋込画像だと「圧縮」はどうなるのか?
埋込画像だとPDFプリセットの「圧縮」が働くのかという実験です。埋込画像にすると元画像が持つ解像度の数値がわからなくなるのは有名ですよね? そんなケースでのPDFプリセットの反応を見てみます。実験で使ったのは「20ppi」「200ppi」「900ppi」の3つです。

▲結果は上の図の通り、プリセットの「圧縮」は働いているのかも知れませんが各ファイルのデータ容量がとてつもなく重くなりました。ためしにIllustratorでの「ドキュメントのラスタライズ効果設定…」を「スクリーン(72ppi)」にして同様に保存してみましたが、結果は同じでした。
「結論:埋込画像にはPDFプリセットの「圧縮」は効果が期待できない」
PDFで保存する時点でリンク画像は強制的に埋め込まれるので、埋め込んでいない配置画像の入ったIllustratorファイルからPDFを作ってください。その方が遥かに軽いPDFになります。
